Jaco Pastoriusサウンドを考える
きっとみんな大好きなベーシストJaco Pastorius。
Donna Leeなどはベーシストならきっと一度は弾いたことがあるでしょう。
そんなJaco Pastoriusを、勝手な妄想とFumi Sound的解釈でサウンドを分解してみようかと思います!
伝説のサウンド
Fender Jazz Bassフレットレスとアコースティック360+361から生み出されるトーン。そして表現も弾き方を多彩に変え自由自在。
私の一番好きなジャコといえば「Trilogue Live!」ですね。もうキレッキレのジャコ!
私もJazz Bassのフレットレスも手に入れ、360のプリアンプも何個も自作し楽しんでいました。復刻版の360+361も弾き、ビンテージの物も弾きました。しかし。。。全然自分の思うようなジャコに近いサウンドは出ません。。。。
その当時は機材にしか目がいっていなかったように思います。
なぜその当時はジャコサウンド近づくことができなかったのか、Fumi Soundの機材を使ってあのサウンドに少しでも近づけるように私なりに分解しながら私の拙い演奏と共に考えていこうと思います。
タッチ的に考える
まずはタッチに焦点を当ててにジャコ・パストリウスのサウンドの原点となる要素を分析していきたいと思います。
上記の機材を使用していること認識していますが、重要なのは本人のタッチでありサウンドの原点であると考えるからです。
また、特定の機材を使用しなければあのサウンドは再現できないから意味がないという考えには賛成せず、現代の機材を使用しながらもニュアンスを残したアプローチを追求したいと思います。
一般的に言われているのは、リアピックアップ上でのピッキングが基本であり、表現によって弾く場所を変えるということ。ピックアップバランスやトーンも積極的に変え、音色の変化をもたらしていきます。これらは目で見ることができる要素です。
私の思うジャコサウンドは立ち上がりが良い音でリアPU上のタッチでも太く抜け感のいいサウンド。バッキングやコードを弾く際のネック付近で鳴らす、うねるようなサウンドも素晴らしい。。。。
しかし、ジャコのサウンドに少しでも近づきたく機材を買ったり自作したり色々と試した結果全然近づくことができませんでした。あの太いサウンドを目指し、ジャズベのリアピックアップ上で弾いてイコライジングしても全然違うサウンドが出てきます。
「あぁ、やっぱりビンテージのフレットレスJazz Bassじゃなきゃ出ないのか。。」
実際に弾いてもいいサウンドが出ないのは
「きっとアタリの固体じゃなかったんだな。。」
なんて無意識のうちにあきらめの言葉ばかりでした。
なぜなら一番大事なタッチについて理解がついていかなかったからだと思います。
機材も大事ですが、まずは「タッチ」をもっともっと具体的に解析する必要があるかなと。
すべてを調べられたわけではないですが、ジャコ本人が自分のタッチについて解説している文章を見たことがありませんのでジャコの弾いている姿をみて研究するしかない。
Trilogue Live!でも最後の曲でフレッテッドに持ち替えていますが基本的な発音は変わりません。フレットレスとフレッテッドの違いはもちろんありますが。
それは使っている機材の為?ジャコが使っていたJazzBass達が特別だったから?
私はタッチによるものだと考えます。
1弦を弾く際に2弦にもアプローチする
リアピックアップ上での基本とも思えるタッチを見てみましょう。
まず注目したいのは振りぬく方向です。
ピックアップをフィンガーランプのように使用していたという記事もありますが私の解釈は異なります。
隣の弦に対して素早く振り抜き、ある種の打音をミックスしピックアップに対して垂直気味に弦が振動することで太く抜けのいいサウンドを作り出していると考えています。その動作中にピックアップに当たっていたとは思います。
このアプローチは福田郁次郎氏の縦振動の考え方に非常に似ている部分があります。
店舗での縦振動のデモ演奏では「バスドラのような音」をよく出されていたこともあり単一的な目線で語られがちになっていますが、実際には様々な奏法に生かすことができ、タッチを考えるうえで非常に重要な感覚を養ってくれるいい教材でもあります。
「MODERN ELECTRIC BASS」をお持ちでしたら、25:23~のシーンとexercise17の少し前から見てください。
25:23~でミュートしながらピッキングしていますが、1弦を弾いている際に振りぬいた指が2弦に当たってたわむのが目視できます。この際、かなり低音が出ているのが分かるかと思います。(左手のミュート技術も関与しています)
弦一本に対してのアプローチでここまで低音出るのでしょうか?
exercise17前後で会話の際にアルアイレ的に弾いていますが少し不明瞭な発音になり低音が無くなっています。
私的にはこの辺りの細かいテクニックは無意識のうちに自身のテクニックに入っていて本人も気づいていないぐらいの感覚だと思います。
またフォームや脱力具合、移弦の際の腕の使い方など、この辺りのシーンはあまりフレーズを弾かず高速に動いていませんので参考になるポイントがかなり多いです。
「ピッキングのスピードがとにかく速いんだよ!」
と、大雑把で伝説的に語っているよりは必要と思われる要素、音を太くするための技術が結構絞れるんじゃないでしょうか。
では、実際に打音を混ぜる混ぜない奏法と弦の振動方向について、まずはゴーストノートと単音で比較してみましょう。JIRAUDのBlack Cloud(パッシブです)にHUB Amp、EVO4を使用します。
リアピックアップのみ、トーンは8ぐらいです。
右手のタッチのみを変化させています。NOEQ、NOCOMP、サウンドについては無加工です。
何年も練習をしていなかったため本当に拙い演奏で申し訳ありませんがニュアンスは伝わるかと。
この動画はヘッドホンやスピーカーなど低音のしっかり出る装置で聴いてください。
スマホのスピーカーでは全く分からないと思います。
タッチの強さが生音で分かるように空気録音も上げておきます。
指を丸め込むような動作ではなく
指をそのまま押し込むイメージ
左手は全弦ミュートしています。
左手のミュートテクニックと右手の総合力が求められるとは思いますが、細かい奏法解説はまた違う記事にて取り上げます。
上の空気録音です
単音にて振動方向によるサウンドの違いです。
弦を縦気味に振動させることで立ち上がりよく発音します。
横気味だと緩やかに立ち上がってきます。
上の空気録音です
どうでしょうか?
イコライジングや加工をしていなくとも音に低域のアタック感が加わり、しっかりと低域が立ち上がってきてているかと思います。
ピッキングをもっと具体的にし、タッチでの選択肢と可変幅を増やしていくことが重要だと考えまます。
フレッテッドでもピックアップに対して少し横方向にピッキングしてあげればフレットレスっぽいの少し立ち上がりのゆったりとした感じも出せそうですね。
逆にフレットレスで立ち上がりの良いサウンドを出すためには縦方向メインの方がよさそうです。
ベースアンプやイコライザー、コンプレッサーでいじる前にこういった細かな奏法で楽器に入力して、いろいろな音を出力してあげることでそのあとのイコライジング等々かなり楽になり、立ち上がりがしっかりしているからこそ抜けのいいサウンドが出てきます。
もっと言ってしまえば、弦も鳴らしていないような奏法ではどんなエフェクターやアンプを使用してもEQ的には変化があってもあまり効果が感じられないとも言えます。
どこまでいってもエレキベースは弦楽器です。私のスタンスとしては本体はできるだけ鳴らしたいですし、できる限り音と表現の幅を楽器ではなく自分自身にありたいと考えます。
次回はイコライジングと歪を足してみます。
機材を使う上で大事だと思うこと
機材を扱いサウンドを作っていく上で大事だと思うことは
・しっかりと特性を把握して扱っていくこと
・サウンドイメージをしっかりともって、要素を分解し組み立てていくこと
この2点かなと。
機材を使う意味や使い方をしっかり考えないとあれやこれや試してばっかりで前に進みません。
また今回のも私以外の人が同じ環境で弾いても完全に同じ音にはならないでしょう。
タッチもそうですが、出音のどこを聞いて作っていくかも大事なポイント。
ベースのサウンドを聞くときに周波数のとある一つのポイントしか耳に入っていないなんてこともよくあります。
Fumi Sound製品はアイディアが出てきた、やりたいことが出てきたときに最高の相棒になってくれるでしょう。
Fumi Sound機材を使って色々とやっていきますのでお楽しみに!!